茶会「ビロードをまとう」レポート

茶人・住田薫さん主催の茶会「ビロードをまとう」が7月18日に天鵞絨美術館にて開催されました。
弊社社員が試作で織っていた、平織り部分に透け感を持たせた綿ビロードに、住田さんが興味を持って下さったのが、茶会開催のきっかけとなりました。

ストライプ状の綿ビロード。藍染め。

初めに織っていたのは、ストライプ状の綿ビロードでしたが、今回の茶会用に、御簾風の綿ビロードも織ることとなりました。
下の左写真の生地は二重ビロードの技法を用いて製織したもの。右の写真は輪奈ビロードの技法で製織し、輪奈を作るために本来は抜いてしまう緯糸をあえて残したものです。

ライン部分がビロード。平織り部分は透け感が出るよう、粗めに製織している。
輪奈を作るための緯糸をあえて残した生地。

ビロードというと秋冬のイメージが強いですが、今回はビロード部分は控えめにラインを形成するためだけにとどめ、平織り部分には透け感をもたせたことで、夏の暑い日にも涼やかによりそってくれるビロードとなりました。
当初はビロードでつくった蚊帳のようなものに皆が包まれるような茶室を住田さんは考案下さっていましたが、このコロナ時代に合わせて、個々人がビロードに包まれつつ、同じ空間で飲食を共にしても不安感がないような設えにしてくださいました。

客ひとりひとりをビロードが包んでくれます。
座布団も綿ビロード製。
点前座にいらっしゃるのが亭主・住田薫さん

他にも床の間代わりに、袱紗にと、色んな形で綿ビロードを使って下さいました。

床の間
古帛紗

綿ビロード以外にも、道具組、お茶、お菓子…どれをとっても、住田さんのセンスと遊び心があふれていて、とても楽しい茶席となっていました。また「with コロナ時代」に合わせる形で、「言葉を発することなく伝えること」や「清めること」を茶道的に大切になさっていたりと、見どころ・感じどころ満載のお茶会となっていました。

改めまして、ご来場いただきました皆様と綿ビロードを面白がってくださった茶人・住田薫さんに御礼申し上げます。